和尚の修行日記平成27年2月15日

28世晋山結制式 制中本講を終えて
永源寺では、昨年11月に晋山結制式を修行致しました。 結制(ケッセイ)とは、仏様の定められた制度に従って多くの修行僧を結集するという意味です。 お釈迦様時代から続く制度で、インドでは4月から7月まで雨期に入りますが、その期間、外での修行をやめて寺の中で修行します。 これを結制安居(ケッセイアンゴ)とか、雨安居(ウアンゴ)、九旬安居(クジュンアンゴ)といます。 結制修行の期間中を意味する制中には諸行持(行は修行、持は護持の意味)が行われます。
2月12日〜14日の間、永源寺では本講と漢詩講座を開催致しました。 本講とは、師家が仏教祖録を提唱して宗旨を宣揚することです。 大田後堂老師様(豊岡市・長松寺東堂)に正法眼蔵葛藤の巻を提唱して頂きました。 また、漢詩講座では高橋東堂に引導法語の作り方等の詩偈作法を教えて頂きました。
私は、大本山永平寺や智源寺専門僧堂で修行した時に老師様方のご提唱を拝聴させて頂いたことがあります。 しかし、その本講の開催を自分自身で進めたことはありませんでしたので、戸惑いの連続でした。 後堂老師様にご提唱をお願いすることや、老師様や受講者への食事の世話のこと、本講で使用する仏具の準備をどのようにすべきかなど、段取りの把握には程遠い状況でした。 そのような中、本講については師匠に曖昧な点を教えて頂き、受講者への食事の世話については典座(テンゾ)和尚と打ち合わせを重ねました。 また、本講に必要な仏具の搬入については焼香侍者(ショウコウジシャ)和尚も交えながら話し合いを重ねました。
晋山式制中配役寺院に本講と漢詩講座の案内状を配布致しましたところ、このことを聞きつけた配役寺院以外の御寺院からも受講希望の御連絡を頂き、開催の準備をしている者としてはとても嬉しく思いました。 本講開催の期間、但馬地方は大雪となりました。 日帰りで他県から往復された方々は、永源寺までの移動だけでも時間を要したと思いますが、永源寺境内の雪の積もり具合を見て、中食(昼食)後の休み時間を使って雪かきを手伝って下さる方もおられてとても感謝致しました。
本講開催の期間は、雪かきに追われたこともありあっという間に過ぎてしまいましたが、後堂老師様や師匠をはじめ、皆様方の御協力のもと本講と漢詩講座を無事に終えることができました。 翌日の15日には、年中行持である涅槃会をつとめた後に、制中の締めくくりの法要で、修行期間が満了した証拠の法要である解制法要(カイセイホウヨウ)や、圓鏡調印式(エンキョウチョウインシキ)をして結制修行を無事に終えました。 これもひとえに老師様をはじめ、師匠や教区御寺院並びに法縁各御老師、永源寺役員や世話人を中心とする檀信徒の皆様のお陰であると感謝しています。 高祖様をはじめとする祖師方や、皆様方の大恩に少しでも報いることができるよう研鑽と修養につとめて参る所存ですので、今後とも御指導御鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
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