圭秀(出家僧侶)の修行日記2013/04/15

八鹿町の観音信仰

 4月15日、観音大祭が永源寺本堂において行われました。 八鹿町では昔から観音様を信仰する風習があり、毎月17日に観音堂で観音講が開かれます。 そして、4月15日には永源寺本堂において町内の講員さんが一堂に会して観音大祭を執り行います。

 毎月17日に行われる観音講では、八鹿町各地区のご婦人が当番制でお堂内外の掃除をし、祭壇に献花や供物を供え、午後2時から法要を営みます。 参拝者全員で摩訶般若波羅蜜多心経(三遍)、妙法蓮華経観世音菩薩普門品、正観世音菩薩真言(二十一遍)を唱え、堂内堂外の諸佛にご回向します。 法要後にはお茶やお菓子をいただきながら、仏教のことから日常の出来事等を歓談して親睦を深めます。

 数年前のことですが、僧侶が纏うお袈裟の話題になった時に、衣財(エザイ※)の種類や、お袈裟のつくり、却刺(キャクシ)という縫い方に興味を持たれた十数名の講員さんが、3ヵ月ほどで九条割截衣(クジョウカッセツエ)を縫い上げてしまったということがありました。 それ以後、私はそのお袈裟を纏って観音講のおつとめをしていますが、割截衣に止まらず今度は糞掃衣(フンゾウエ)を把針(ハシン※)しようという雰囲気が高まっています。

 観音様は慈悲・救済を本質とする菩薩で、そのお姿を三十三身に化身して私たちの苦を救うとして日本全国で広く信仰され、上求菩提(ジョウグボダイ※)より下化衆生(ゲケシュジョウ※)としての仏様とみなされています。
 妙法蓮華経観世音菩薩普門品のお経の中では、
「無量の苦が身に逼(セマ)るとも、観音の妙智力は能く世間の苦を救いたもう。真観清浄観(シンカンショウジョウカン)、広大智慧観(コウダイチエカン)、悲観(ヒカン)、及び慈観(ジカン)を常に願い常に瞻仰(センゴウ)すべし」と書かれています。

 真実を求め、清らかな心であらゆるものを平等に感じ、他人の喜びや悲しみを共に共感できる心を持つことは私にとって非常に難しく、忙しい時はついつい感情の虜になってしまいますが、観音様に少しでも近づけるように、感謝の気持ちを忘れず精進を積み重ねてゆこうと思った今年の観音大祭でした。

※衣財:法衣の材料。
※把針:縫い物をすること。
※上求菩提:上に向かっては悟りを求めて修行に励むこと
※下化衆生:迷える者を教化求道すること
法要の様子

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