圭秀(出家僧侶)の修行日記2013/03/05

東日本大震災三回忌法要を終えて

 3月5日、曹洞宗兵庫県第二宗務所青年会主催の東日本大震災三回忌法要が丹波市氷上町にある妙音寺にて修行されました。 兵庫県第二宗務所青年会は、兵庫県の但馬、丹波、篠山の曹洞宗青年僧侶で構成され、各地で行われる法要に随喜(ズイキ)したり、寒行托鉢(カンギョウタクハツ)、ボランティア活動、梅花講奉詠大会のお手伝いなどを通して研鑽と修養につとめています。

 一昨年、東日本大震災が東日本の広範囲にわたり甚大な被害をもたらしました。 多くの尊い命が奪われ、また多くの方が被災されました。 私は、震災直後に当青年会の会員として被災地に行き、微力ながら瓦礫撤去作業等のボランティア活動に参加させて頂きました。 変わり果てた現実を目の当たりにし、この世の無常、命のはかなさを感じたことを覚えています。
昨年は仮設住宅に赴き、当青年会の行茶(傾聴ボランティア)活動に参加させて頂きました。 被災者の方とお互いの地域の情報交換をしたり、一緒に歌を歌うことによってみんなが笑顔になれました。
 しかしながら、不自由な生活を余儀なくされている方はまだまだ多くおられます。 昨年の12月に当青年会会員が托鉢した際の浄財は、三回忌慰霊法要のこの日、被害が大きかった岩手、宮城、福島の三県に送金させて頂きました。 一日も早い被災地の復興をお祈り致します。

 慰霊法要の後、当青年会初代会長の観音寺御住職平岩師を講師にお迎えして「法話・説法について」と題して講演会が開催されました。
 出家以前の私は、青森県出身ということもあって主に東日本を中心に生活をしていました。 出家を機に兵庫県に移り住みましたが、土地勘はなく、知人もいないこの但馬の地で初めてお会いする檀信徒の方々にどのように応対したらよいか見当がつきませんでした。 そういうわけで、暫くは法事や通夜の席で法話をすることはありませんでした。
 今回の講演会で講師先生は、「自分より年上の方が多い場所で話をするというのは、とても勇気が必要です。 しかし、寺のこと、仏様のこと、人の暮らしぶり等、何かしら身近な話題を見つける努力をしてゆくと、それがその人の力となってゆきます」と教えて下さいました。 「また、時間とお金に余裕があれば、できるだけ自分の寺に留まらずいろいろな人と接して知識を増やし、経験を積んだ方がよいです」といわれました。

 私は、永源寺での一年間の行持(ギョウジ※)を行いながら、お釈迦様が説かれた内容を勉強しつつ、実際に自分自身が体験して気が付いたことを中心に話を進めたことを覚えています。 しかしながら、単にお話をするといってもいろいろな状況が考えられます。 相手が少人数の時もあれば、通夜の席のように多い時には数百名の参列者の前で話をする時もあります。 その時その時の様々な状況に応じて話を組み立てる必要があります。 そのことを可能にするためには、毎日の修行が必要不可欠であると講師先生のお話を拝聴しながら痛感した次第です。 今後、様々な状況に応じて話ができるように精進を積み重ねてゆこうと思いました。 講師先生はじめ、青年会の皆様方お疲れ様でした。

行持:行は修行、持は護持・持続を表し、佛祖の教えを修行し永久に持続・護持すること
東日本大震災三回忌法要の様子

圭秀の修行日記表紙に戻る