圭秀(出家僧侶)の修行日記2013/01/22

傾聴研修会を終えて

 1月22日、全国曹洞宗青年会主催の傾聴研修会が京都市にて行われました。 当青年会は、日本全国の曹洞宗僧侶の内、約3,500名で構成されており、各種研修会、ボランティア活動等を通して研鑽と修養に努めています。 今回の研修会には、全国から35名の参加者が集まりました。 初めに傾聴に関する講義を受け、その後ロールプレイ(役割実演)を行いました。

 講義では、先ず「聴く」という字の説明がありました。 そこで講師の先生は偏と旁を説明されました。 「聴く」という字は、耳に悳と書きますが、「まっすぐに聴くこと」を意味し、聴覚だけでなく、あらゆる感覚を用いながら全身で相談者の話を受け止めることであると教えて下さいました。 さらに傾聴のための注意点として、安心して悩みと向き合える環境を整えることや、話の聞き方、沈黙への対応方法などを教えて下さいました。
 相談者が「一緒に話ができて良かった」「心が落ち着いた」という思いを感じてもらうため、相手の話をしっかりと聴き、何に悩み、何を望んでいるのかを知ることが必要であると教えられました。

 引き続きロールプレイが行われました。 そこでは3人一組になって相談者、聴き手、観察者に分かれ、実際に問い合わせのあった相談事に基づきながらそれぞれの役割を演じました。 そしてロールプレイ終了後に自分の言動を振り返り、お互いに感想を述べ合いました。 5〜7分という時間の中で法事、葬儀、戒名、お布施といった仏事全般の相談から、東日本大震災で被災した人たちの日常生活相談、生死にかかわる相談まで様々なテーマが取り上げられました。

 私は、昨年、東日本大震災ボランティア活動の一つとして宮城県亘理町の仮設住宅で行茶・傾聴活動をさせていただきました。 私は元々東北の生まれで、会社員時代には宮城県内で働いていました。 そのため言葉の壁を気にすることなく容易に被災者の方と語り合うことができるだろうと思っていました。 しかし実際に活動を行ってみると、自分の想像通りにはゆかず、被災者の心を私の言動でさらに傷つけはしまいかと思うばかりで何をどのように話してよいものか悩んだ記憶があります。

 今回のロールプレイでは、聴き手は相談者からの話の内容をメモを取らずに聴き取るという研修でしたが、私にとって時間はとても早く感じられ、内容の核心に迫る前に時間切れとなることが多かったです。 終了後に観察者から私の話のテンポや口調、応対の仕方、相談の進め方等の助言をいただき勉強になりました。 また、他の僧侶の応対方法に接し相談者への対応方法を多角的に考えることができました。

 世の中のグローバル化に伴って、地域を問わず、老若男女を問わず、永源寺においてもいろいろな問い合わせや悩み等の相談が寄せられるようになりました。 今回の研修で学んだことを活かし、今後の私の傾聴が相談者にとって満足のいくものになるよう心掛け、精進を積み重ねてゆきたいと思います。

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