圭秀の修行日記2012/09/10

天高く蜂群れる秋

 毎年、夏から秋にかけて永源寺各伽藍の軒下や植木には蜂の巣が多数作られます。 それは、寺の境内には蜂が巣を作るのにふさわしい場所が数多くあるからです。 植木を剪定している時や、石垣の草取りをしている時に蜂に出くわすのは日常茶飯事です。 またご法事の際、お墓の前で読経している最中にも献花目当てにやってきた蜂が黒い法衣を着た私の周りをブンブンと飛び回ります。
 このように、おつとめや外掃除の際、蜂に刺されないよう気の抜けない毎日が続いています。 蜂に刺されにくい方法、刺された後の対処方法を考えながら山仕事や境内の外掃除を行っています。

 今年はこのようなことがありました。 永源寺では、毎週土曜日の夜7時30分より坐禅会を行っていますが、坐禅堂玄関の明かりをつけた時のことです。坐禅堂の周囲はすでにとっぷりと日が暮れているのに、外灯には大形の蜂が何匹も群がってくるではありませんか。 参禅者と共に坐禅堂の軒下や辺りを見回しましたが、蜂の巣のようなものは見当たりません。

 蜂は、翌週の坐禅会でも暗闇の中群れを成して外灯に集まりました。 そこで、私は明るい時にお堂周辺を飛んでいる蜂の経路を調べました。 するとどうでしょう。 遠くから飛んできた蜂たちは、お堂の壁の中に次々と入ってゆくではありませんか。 蜂の巣は、坐禅堂の壁の中に作られていたのでした。
 蜂は外壁に直径2センチほどの丸い穴をあけ、壁の幅10センチほどの隙間に巣を作っていたのでした。 その結果、私はその後1週間ほどかかって蜂を坐禅堂から追い出すことに成功しました。

 清々しい秋晴れの日を「天高く馬肥ゆる秋」といいますが、これは中国から伝わった言葉です。 実りの秋に元気になった馬に乗った敵(蒙古)が北の草原から攻めてくるのを警戒した諺ですが、ここ永源寺では秋晴れの日は「天高く蜂群れる秋」で、実りの秋に大群となった蜂が空から攻めてくるのを警戒する毎日が続いています。
蜂はこのように穴をあけて壁の中に巣を作っていました 植物の葉の形そっくりの蜂の巣

戻る