圭秀の修行日記2012/07/04

東日本大震災ボランティア・行茶活動を終えて

 私は、7月上旬に兵庫県の丹波、篠山、但馬の曹洞宗寺院で構成する曹洞宗兵庫県第二宗務所青年会主催の東日本大震災ボランティア・行茶(傾聴ボランティア)活動に参加させていただきました。 この行茶活動は、2007年の能登半島地震の際に、曹洞宗の青年僧侶により始められた活動です。 東日本大震災後においても各地の曹洞宗青年会を中心として行われています。 災害により身体的・精神的ストレスを抱え、不自由な生活を余儀なくされている被災者に心休まるひと時を提供する活動です。 お茶をいただきながらこれまでの苦難を語り合い、共に苦しい現実を受けとめつつ、被災者の皆さんには自分自身と自らの日常をゆっくりと取り戻していただける一助になればと考えています。

 私たちが向かったのは、宮城県南部の町、亘理町の仮設住宅でした。 午後1時に到着後、福島県伊達市・成林寺に本部を置く全国曹洞宗青年会災害復興支援部の方の指示を受けながら、仮設住宅内の敷地内にある公民館で活動のための準備を行いました。 公民館内には、お茶やコーヒー、お菓子などを準備し、また、非常に暑い日だったので、外ではかき氷を作れるように機械やパラソルを準備しました。

 私は、昨年にも宮城県南部の町、山元町にある曹洞宗寺院において瓦礫撤去のボランティア活動をさせていただきました。 その寺院では、地震により高さ5メートル以上の津波が押し寄せ、本堂や庫裏の一階部分は倒壊しました。 また、周囲の田畑には家財道具や瓦礫、衣類といった様々なものが散乱していました。 私はこのような光景を目の当たりにして言葉がなくなり、被災者の方に対してもほとんど声を掛けることができませんでした。

 私にはその時の印象が非常に強く脳裏に残っていたので、今回の活動では声を掛けることができるのかと心配していました。 すると、行茶活動を何度か経験している青年会会員が心得たもので、みんなで歌を歌えるようにギターを演奏したり、子供たちにミサンガを作って上げたりしました。 次第次第に参集してきた人たちは心が打ち解け一つの輪となり、私たちと被災者との距離は急速に縮まりました。 お互いの地域の情報交換をしたり、久しぶりにみんなで歌を歌うことができて楽しかったという方もおられ、私はみんなが笑顔になれてホッとしました。 希望者にプレゼントするために用意した風鈴も好評で、老若男女問わずほとんどの人たちが手にして帰路につきました。

 昨年は、千葉県曹洞宗青年会の皆様と共にボランティア活動をさせていただきましたが、今年は滋賀県曹洞宗青年会、宮城県曹洞宗青年会の皆様と行茶活動をさせていただきました。 全国から駆け付け共に苦労し、共に励まし合いながら一緒になって活動にあたるボランティアの方々の姿を見て人間の優しさ、絆の強さをいたく感じた次第です。 私たちは日常の生活において、他の人々に支えられながら生きていることは言うまでもありません。  他の人々ばかりでなく、他の生き物や自然の恩恵を受けて生かされていることも然りです。 生きるということは全ての存在の支え合いだと強く感じました。 一日でも早い被災地の復興をお祈り申し上げます。

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