圭秀の修行日記2012/01/17

阪神淡路大震災慰霊法要を終えて

 1月17日、阪神淡路大震災慰霊法要が、曹洞宗兵庫県第二宗務所青年会僧侶の読経により神戸市長田区で勤修されました。 兵庫県第二宗務所青年会は、兵庫県の丹波、篠山、但馬(タジマ※)の曹洞宗寺院で構成されています。 会としては、各地で行われる法要に随喜(ズイキ※)したり、年末の寒行托鉢(カンギョウタクハツ)、ボランティア活動、曹洞宗梅花講奉詠大会の手伝いなどを通して研鑽を積んでいます。

 17年前、阪神淡路大震災は神戸市を中心とする阪神地方に甚大な被害をもたらし、6434人もの尊い命が失われました。 その時、丹波、篠山、但馬の各地区で活動している曹洞宗青年会が現地に赴き、ボランティア活動を行いました。 初めのうち、それぞれの青年会は別行動で活動を行っていましたが、次第次第に意気投合するようになり、連絡を取り合って活動を行いました。 そのような経過から、丹波、篠山、但馬の各青年会僧侶の心が一つとなり、その後曹洞宗兵庫県第二宗務所青年会が結成されました。 当青年会は震災後のボランティア活動を終えた後も、毎年1月17日に阪神淡路大震災慰霊法要を行っています。 今年も、神戸市長田区にある御蔵北公園の鎮魂と刻まれた慰霊碑前には、小学生がペットボトルで作った灯籠が並べられ、午後5時46分、黙祷が行われた後、慰霊碑を会の僧侶らが囲み、参列した区民と共に追悼法要を営みました。 震災後、復興を遂げた阪神淡路地域ですが、追悼行事は長田区のみならず、1月17日の午前5時46分と午後5時46分に各地域で行われています。

 昨年は、東日本大震災が東日本の広範囲にわたり甚大な被害をもたらしました。 多くの尊い命が奪われ、また多くの方が被災されました。 震災で亡くなられた方々に対して哀悼の意を表し、現在も苦しい生活を余儀なくされている方にお見舞い申し上げます。 そして、一日も早い復興をお祈りいたします。

 昨年、私は震災後に曹洞宗兵庫県第二宗務所青年会会員として被災地に行き、ボランティア活動に参加しました。 変わり果てた現実を目の当たりにし、この世の無常、命のはかなさを感じ、なんといっても気持ちが落ち着かず、動揺した毎日を送っていたことを覚えています。 今になって考えることですが、僧侶として活動に参加させていただいた当時の私に求められていたのは、時代の変遷、激動の中、困難な状況下でもできるだけ心を平常心に保つこと、そして冷静に目の前の問題を見据え、その姿勢で菩薩行(ボサツギョウ)を行じることではなかったかと思うのです。 いつの世でもどこに於いても何が起こるか分かりませんが、私自身が自分を見失っているようでは、目の前の問題を解決できないばかりか、とうてい周囲に対しても心の安寧をもたらすことはできないからです。 今回、阪神淡路大震災慰霊法要に随喜させていただきましたが、17年経ったとはいえ被災者の心の傷を癒すには、まだまだ時間が必要だと思いました。 今後、被災地に赴く際には、少しでも被災者を安心させることができるよう、先ずは自分自身が確固たる信念を持てるように、正身端坐(ショウシンタンザ)し精進を積み重ねてゆきたいと思いました。

(備考)
※ 但馬:永源寺(養父市八鹿町)は但馬地区に属す
※ 随喜:法要に助力すること

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