圭秀の修行日記2011/12/08

龍について

 先月、国賓としてブータン国王が来日されました。 国王夫妻は金閣寺など京都の観光名所の訪問に先立ち、東日本大震災で被災された地域へお見舞いのため足を運ばれました。 また、国王は衆議院本会議場で記念の演説をされました。 その際、日本国民に深く敬意を表わされ、親日の情と、日本が国際社会やアジアに果たしてきた役割の大きさを話されました。 そして、震災で失われた尊い命に対して哀悼の意を表され、一日も早い復興をお祈りされました。 国王夫妻が被災地で合掌された姿は、今もって私の脳裏に焼き付いています。

 日本とブータンは国交が樹立して25周年になります。 私自身、失礼ながらブータンに関する知識はあまりありませんでしたが、今回のことで親近感が生まれ、国民の大多数が幸せであると感じているこの国に興味を持った次第です。
 ブータンの国名は、正式には「ドゥルック・ユル」といいますが、ドゥルックというのは雷龍のことで、国旗中央に描かれています。 国旗上部の黄色は権威を表し、下部のオレンジ色は仏教を表しています。 雷龍の白い体は清らかさを、龍が握っている宝珠は豊かさを表しています。

 「龍」は仏教を守護する存在として考えられています。 曹洞宗寺院では、龍天護法善神(リュウテンゴホウゼンジン)を白山妙理大権現(ハクサンミョウリダイゴンゲン※)と併せ祭って、修行僧の修行無難、道念増長の守護神として拝しています。

 国王が、日本の子供たちに龍について次のことをお話されたのがとても印象的でした。
「龍は人の心の中にあり、その経験を糧にして育つ。 その龍をいかに育ててゆくのかが重要であり、それが人間である、人生である」
 来年は辰年です。 龍が水を得て天に昇ってゆくように、自分の足元を見つめながら毎日の修行に精進したいと思います。

(備考)
※ 白山妙理大権現  :白山は石川、福井、岐阜の三県にまたがる日本三山の一つに数えられる山で、奈良時代に越前の僧侶、泰澄によって開かれた。道元禅師が碧巖録(ヘキガンロク)を書写した際、当権現の助力によって一夜のうちに書写したといわれている。


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