圭秀の修行日記2011/01/11

正月行事を終えて  

 昨年末から今年の正月にかけて、日本海側の各地や山間部を中心に大雪に見舞われました。 そのため雪による被害ニュースが多く報道されました。 車のスリップ事故が多発し各地で交通渋滞となり、車中で新年を迎えたというニュースには驚きました。 また、永源寺においても例外ではなく大晦日から元日にかけて境内には多くの雪が積もりました。

 年末年始の永源寺は、一年で一番忙しい時期です。 煤払いを始めとする大掃除や、仏様に供える献餅(ケンビョウ:鏡餅)作り、各伽藍の全ての献華をへだらから松竹梅に変え、堂内外に幕を張ります。 檀信徒に配る大般若札に家門繁栄などを祈って正月三ヶ日修行するための祈祷法要の準備や、初詣に来られた参拝者への接待準備、除夜の鐘のための山門のライトアップ等など・・ 準備すべき項目をチェックしながら正月に備えます。 私は例年、師走になると目が回るほど境内を走り回ります。

 除夜の鐘を真夜中に撞き終わってから引き続き行なう本堂での祈祷法要や、各伽藍を巡堂しながら正月三朝のお勤めをするため、ほとんど休む暇なく元日の朝を迎えます。 そのため、肉体的・精神的疲労により元日になって体調を崩すことがしばしばありました。
 今回は、過去の苦い経験から余裕を持って準備に取りかかりました。 また、地域の方に掃除などを手伝っていただきました。 位牌堂の掃除では、全ての位牌を下ろして位牌や棚を掃除するので私一人での作業では長時間を要します。 手伝っていただいたお陰で、短時間で掃除を終えることができました。 幸運なことに、地球温暖化のためか師走でも温かいと感じられる日が多く、一昨年と比べても体が動きやすかったです。 そのため、体力の消耗はあまりありませんでした。 大晦日に二軒の葬儀をつとめるという厳しいスケジュールでしたが、何とか無事に準備を終えました。

 しかし誤算だったのは、大晦日から元日にかけての断続的な降雪でした。 夕方から除夜の鐘が始まるまでに数回の雪かきをしましたが、その後も降り続いたからです。 夜通しのおつとめの後、初詣時間までに境内の除雪を一人でこなすというのは到底不可能です。 参道や駐車場の除雪がなされていないことで、参拝者にご迷惑を掛けるかと心配しました。 しかしその際にも地域の方々が明け方近くに永源寺に来られ、境内の除雪をしてくださったのです。

 除夜の鐘行事には老若男女を問わず120名以上のお参りがありました。 その際、鐘を撞いた人に特製の永源寺絵葉書を配るのですが、数人の子供からその絵葉書で年賀状が届きました。
「あけましておめでとうございます。 ことしもかねをつきにお寺にいかせてもらいますので、よろしくおねがいします」
「毎年 鐘をつかせてもらってありがとうございます。 八鹿に大きなかまくらを作って帰りました」
 などと書かれた年賀状を見ると、私自身、師走からの肉体的・精神的な疲れはどこかに吹き飛んでしまいます。 私一人では到底こなすことはできない年末年始の行事を、大勢の方に支えられながらつとめさせていただいていることに感謝致します。 そして、この行事を通してさらにいろいろな方とのご縁ができるように精進してゆきます。
昨年の除夜の鐘行事の様子


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