圭秀の修行日記2006/03/01

できるだけ大根に! 

 最近、「継」という文字をよく見かけることがあります。 昨年来、マスコミを中心に皇位継承に関する議論がいろいろなところで行われているからでしょうか? 古事記や日本書紀によりますと、神武天皇は紀元前660年に大和国橿原宮で即位され、第一代の天皇になられたと書かれています。 それ以降、皇位は125代の今上天皇に至るまで途切れることなく継承されてきました。

 皇位ばかりではなく、仏教においても同じことがいえます。 釈尊の教えが、現在に至るまで脈々と受け伝えられてきました。 紀元前5世紀頃、お釈迦様は29歳で出家なされ、35歳の時にブダガヤの菩提樹のもとで王三昧に入られお悟りを開かれました。 その教えは祖師方により現在まで伝えられています。

 家業を継ぐ、志を継ぐ、ことばを継ぐなど‥ 続いているものを絶やさないようにする、絶やさないように代々受け継ぐということは、仏教や皇位に限らずどのような分野においても非常に重要なことだと思います。

 明治時代の高僧西有禅師様(※1)はいつも「人参ではだめだ、せめて大根になれ。」とおっしゃっていたそうです。 仏の教えを “先細りさせてはいけない”という意味です。 代々伝えられた師匠の教えを私の今の小さな応量器(※2)からこぼさないようにしなければいけません。 僧侶として至らない点の多い私ですが、人参にならないよう、できるだけ大根になれるよう精進してゆこうと思います。

 (備考)
※ 1:西有穆山(1821〜1910)曹洞宗第7代管長、総持寺独住3世。陸奥八戸の人。近代の「正法眼蔵」参究の端緒を開き、多数の門人を育成した。
※ 2:僧侶の用いる食器のこと。


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