圭秀の修行日記2005/03/01
 

涅槃会に思う

 2月15日は、お釈迦様が亡くなられた日です。 永源寺では2月に入ると本堂に涅槃図(ネハンズ※1) をかけ、夕方に「佛垂般涅槃略説教戒経(ブッシハツネハンリャクセッキョウカイキョウ)」というお経を読経します。 そして15日に涅槃会を執り行います。 今年も良い天候の中、梅花講員・一般参拝者の皆様と共にお経と御詠歌をお唱えし、法要を務めさせていただきました。  方丈様より御法話をいただき、その後皆様と一緒にぜんざいを頂戴しました。 身も心も温まり、お陰様で和やかな雰囲気のもと無事に涅槃会を終えることができました。

 1、2月はとてもお葬式の多い月でした。 この2ヶ月で永源寺と智源寺を合わせて20軒以上ものお葬式があり、養父市と宮津市を毎日のように往復しながら務めさせていただきました。 最近のお葬式で感じることは、会館での葬儀が多くなったということです。 2〜3年前までは半分以上自宅葬でしたが、時代の流れと共に葬儀の形態が変化していると思いました。
 曹洞宗の在家葬法は、鎌倉期に、まず上級武士や公家に受容され、徐々に地方武士を通じて広く社会に普及していきました。 明治期に葬法の規範が一度制定されますが、時代と共に簡略化の方向に向かっており、この流れはこれからも続くと思います。 しかし、一生に一度のお葬式。 忙しい時はなかなか思い通りにならないこともありますが、参列者と共に故人の生前を振り返り、故人の遺したものが次世代の人たちに継承されていくことを願い、人の一生とは何であるのかを思いながらひとつひとつの法要を大切に務めてゆきたいと思います。
 
 3月に入ると、今度は智源寺でも永源寺と同様に夕方お務めをし、15日に涅槃会を執り行います。 涅槃とは、インドの言葉「ニルバーナ」の音写語で「吹き消す」という意味です。 煩悩の火が吹き消されている状態をいいます。 涅槃に先立ち、お釈迦様は最後の説法をされました。 その教えは「佛垂般涅槃略説教戒経」に説かれています。 「小欲」「知足」などの様々な教えを説いてくださいましたが、お釈迦様の弟子として自らの生き方の中に生かせるように精進してゆきたいと思います。

(備考)
※1:お釈迦様が沙羅双樹林下で横臥し涅槃に入った時の様子を描いた絵。


戻る