2004/07/28

汗びっしょりで叩き続けた祈祷太鼓

 7月27日は、朝からお寺の境内に油蝉の鳴き声が響き渡る暑い日でした。 この日、京都の宮津市にある智源寺では観音大祭が執り行われました。

 大祭は先ず、午後4時からの華道発表展から始まりました。 本堂の一角に展示会場が設けられて、華道愛好者による作品がズラリと並べられました。 そして、参拝者の中には花々の美しさをカメラに収めている方も見受けられました。
 午後6時半からは野外ジャズコンサートが始まりました。 本堂前に設けられた特設会場で、地元アマチュアバンドが演奏しましたが、その音色に引き寄せられた多くの聴衆で、本堂前はかなり混雑しました。

 1時間の演奏が終わると、メインイベントとなる転読大般若祈祷法要が始まりました。 この法要は、年に一度この日にのみ御開帳される秘佛黄金観音佛の法力と大般若祈祷により、お申し込みいただいた皆様の願目が成就されるようにと厳修されたものです。
 導師上殿の後、浄道場(ジョウドウジョウ:清めの儀式)、伝供(デング:お供えをすること)、読経と法要は進んでゆきましたが、私にとって今回の法要は緊張の連続でした。 なぜなら堂行(ドウアン)という配役をいただき、祈祷太鼓をたたくことになったからです。 一般に、法要では読経の際、磬子(ケイス)と木魚(モクギョ)を使用しますが、祈祷法要に限っては木魚の代わりに太鼓を叩くのです。 永平寺で修行させていただいた際、祠堂殿(シドウデン)で少し教えていただいたことはあるのですが、このような大舞台で叩いたことはありませんでした。
 しかし、せっかくいただいた配役ですので、空いた時間は同安居(ドウアンゴ)の信本さんにお経を唱えてもらいながら練習しました。 初めの頃は読経のリズムと太鼓のテンポが合わず焦ってばかりいましたが、それでも練習を繰り返すにつれ、徐々にお経と太鼓が噛み合うようになり、本番では、老僧方を前にとても緊張しましたが、練習の甲斐あって何とか無事に勤めることができました。

 転読する際の大声と500名近い参拝者の熱気が渦巻く中、汗びっしょりになって太鼓を叩き続けた今回の法要・・・。 1時間の法要が私にはとても長く感じられましたが、それでも終った時は清々しさが沸いてきました。
 法要後、随喜御寺院様より「太鼓の音が参拝者の熱気に打ち消されないよう、もっと強く叩きなさい」とご指摘を受けました。 実際、今回は初めての経験だったということもあり、加減してたたいていました。 今後、もし同じような機会に恵まれた時は、もっと心にゆとりが持てるよう、更に練習していこうと思いました。

 法要後、再び始まったジャズコンサート。 その音色が、法要中緊張気味だった参拝者の心の糸を解きほぐしたのか、多くの参拝者が本堂前をいつまでも離れようとしませんでした。
 私にとって初めての、智源寺・観音大祭・・・。 来年、更に参拝者が増えるように、自分に課せられた今後の課題に少しずつ取り組んでゆこうと思いました。


秘佛黄金観音佛

ジャズコンサート

華道展


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