2004/09/29
六人だけの出班焼香

 9月29日は曹洞宗の開祖である高祖様(道元禅師)のご命日です。 この日、智源寺専門僧堂(宮津市)において両祖正当献供出班(リョウソショウトウケン.グシュツバン)という法要が執り行われました。 両祖とは、道元(ドウゲン)禅師様、瑩山(ケイザン)禅師様のことです。

 この法要は、本来、導師が18拝するという大法要で、いろいろな鳴らし物があり、また複雑な動きを伴うので、一般には多数の御寺院様随喜のもと厳修されるものですが、その大法要を智源寺山内6人の僧侶で行うことになったのでした。本当に大丈夫かなあという不安を抱きつつも、両祖様のためにと挑みました。

 人数が少ない分、一人につきいくつもの配役(ハイヤク:担当すべき役位)が割り当てられます。 そこで、法式(ホッシキ:法要を行う上での作法・儀式)担当の堂監様が試行錯誤の後、流れを乱さないように私たちの配役を決めてくださり、その配役に従い法要は始まりました。
 法要は先ず、導師上堂の後、上香三拝、湯・食三拝、シンキン・菓三拝、焼香三拝、献茶三拝、中揖三拝と、伝供(デング:お供えをすること)と共に導師のお拝から始まりました。 そして導師が法語を唱え、私たちが出班焼香(シュツバンショウコウ:出班の儀に従い、最も丁重に敬意を表して、真前に進み焼香し、合掌しながらもとの位置に戻ること)をしました。 両祖様に対して9回のお拝をし、維那(イノ:法要での読経の先導、経題や回向文を読み上げる任に当たる者)が疏(ショ:佛祖を供養する際の回向文)を唱え、大佛頂萬行首楞厳陀羅尼(ダイブッチョウマンギョウシュリョウゴンダラニ)を読経し、最後に三拝して法要は無事終わりました。

 永平寺での修行中、同じ法要に随喜させていただいたことはあるのですが、何が何だか分からないうちに終わってしまった記憶があります。 今回初めて出班焼香をすることができ、また配役をこなしているうちに進退(シンタイ:法要の起居動作)もよく理解できました。
 1時間の進退ならしが前日にあったものの、6人でもスムーズに法要を進めることができ、導師を務められた方丈様も「少人数でもできるものだなあ」と驚いていました。 両祖様のためにできるだけの法要を営みたいというみんなの気持ちが一つになった証しだと思いました。

 堂監様は次のようにおっしゃいました。
「どのような法要を営むにせよ、法要に対する気持が大切なものです。 たとえ人数が少なくとも法要に対する心構えを大事にしなさい。」
 これからも、「不可能なことはやらない、可能なことはやる」ということではなく、不可能だろうと思われることでも、皆で工夫しながら、自分のできる範囲で一生懸命やっていきたいと思いました。

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