2003/02/28

入堂の拝

 2月21日の上山以降、旦過寮(タンガリョウ※1)期間中、坐禅堂外堂で坐禅をしていた私が、内堂に入ることを許される日が訪れました。 28日の粥罷(シュクハ※2)に入堂の拝が行われたのでした。 入堂とは、修行僧が僧堂内にみずからの被位を与えられ、掛搭(カタ※3)を許されることです。 8人の2番上山全員で聖僧様(ショウソウサマ)に大展三拝(ダイテンサンパイ※4)した後、貎下単 (ゲイカタン※5)に進み問訊。 そして、合掌し深々と頭を下げながら役寮(ヤクリョウ)さんや古参和尚(コサンオショウ)さんの前を歩き、坐禅堂内堂と外堂を一周しました。
 僧堂での入堂の拝が終わると、客行和尚(カアンオショウ※6)につれられ、引き続きそれぞれの寮舎で入堂の拝をしました。

 旦過寮での生活はとても長く感じられました。 朝から晩まで坐禅、坐禅の毎日。 同日上山の仲間と話をすることも許されず、東司(トウス:お手洗い)や洗面も決められた時間のみ。厳しい監視の下、旦過寮と僧堂外堂だけを往復する毎日でした。 自分が、永平寺のどこにいるのかさえ分からず、精進料理にも慣れず、色々な作法、例えば顔の洗い方、歯の磨き方、東司への入り方、食事の仕方、かしわ布団での寝方、掃除の仕方、法衣の着方・たたみ方、浄髪の仕方、お経の読み方、お経本の持ち方なども思うように飲み込めず、とても辛い毎日でした。 それでも歯を食いしばりながらなんとか一週間乗り越えたのでした。

 入堂の拝の後、蜜湯(ミットウ)と羊羹を出されました。 典座老師(テンゾロウシ※7)が早朝から白山水を炭で温めてくれたものに蜂蜜を入れ、梅干でかき混ぜながらいただいた蜜湯は、永平寺での寒さでこわばっていた体を温めてくれました。 毎日の精進料理で糖分の摂取量が少なくなっていたのでしょうか? 一人につき1本ずつ配られた羊羹は、1分とたたずに全てなくなってしまいました。厳しいと思っていた古参和尚さんからこのようなもてなしをされ、ふだん甘いものは一切口にしない人もガツガツと食べていました。

 今日から衆寮(シュリョウ)での修行が始まります。 また慣れない生活が始まりますが、昨晩の一週間ぶりの開浴(カイヨク)で気分も一新し、厳しい環境の中にも皆様の暖かい励ましを感じ、頑張ってゆこうという気が沸くのでした。

(備考)
※1:僧堂へ上山した者を受け付け、雲水修行の基礎訓練をする寮舎
※2:朝粥の済んだ後
※3:叢林に止まり安居することの意
※4:叢林における礼法の一
※5:貫主、宮崎禅師の坐られる座位
※6:禅院で知客の下でその用務をする僧
※7:厨房全体を取りまとめる役寮さん

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