2002/04/25

大観音講(オオカンノンコウ)と“永源寺いきいき塾”

 4月15日、ぽかぽか陽気の中大観音の法要を執り行いました。 大観音とは観音講(観音様の徳を講讃する法会の名)の大祭のことです。 永源寺では毎月17日に観音堂にて観音講を執り行っているのですが、今月は大祭ということで76人の檀信徒の皆様と一緒に本堂にて行いました。
 
 はじめに、今年の大観音講の流れを簡単に説明したいと思います。 法要は、梅花講員による観世音菩薩御和讃がお唱えされる中、導師様の入堂から始まりました。 導師様入堂後、観音様に対して三拝し、花供養御和讃・御詠歌のお唱えと共に献供(供物をささげること)を致しました。 そして、お経と御詠歌を唱えさせていただきました。 お経は毎月の観音講と同じように「般若心経」三遍、「妙法蓮華経観世音菩薩普門品(ミョウホウレンゲキョウカンゼオンボサツフモンボン)」一巻、「正観世音菩薩真言(ショウカンゼオンボサツシンゴン)」二十一遍を読経し、最後に梅花講員が「観世音菩薩御詠歌」をお唱えしました。 お唱えの後、再び観音様に三拝をして法要は終わりました。

 毎週、お稽古をしている御詠歌に関してはいうまでもないことですが、お経についても檀信徒の皆様の息のあったお声が本堂に響き渡りました。 そのお陰で堂行(ドウアン)を勤めさせていただいた私の体に無駄な力が入らず、自然体でケイスや木魚(モクギョ)を撞くことができました。 法要の後、檀信徒の皆様から「ケイスと木魚の音が良く響いていたわよ」とお褒めの言葉をいただいたのですが、これも皆様の読経のおかげだと感謝しております。

 法要終了後は、“永源寺いきいき塾”という公開講座を開催しました。 お寺の近くにある但馬長寿の郷という県の施設から先生をお招きして、「いきいき健やか長寿万歳」と題して、健康に関する講演をしていただいたのです。 講演の後には、健康を保つための簡単な体操を教えていただきました。 頭から手や足、腕や腰など、体のさまざまな部分の体操を檀信徒の皆様も一緒になって行いました。 日頃、自分の健康には無頓着な私も先生のお話の通りに体操をやってみたところ、心身ともに非常にリラックス致しました。

 今回の講演で健康を保つ秘訣をいろいろと教えていただきましたが、その中でも特に勉強させられたのは、姿勢についてでした。 "正しい姿勢は身体に良い"ということは以前より自覚していたつもりでしたが、先生の講演を聴くにつれ今までの自分の姿勢に疑問が湧いてきたからです。 この話の中で先生はテレビを見ている時の姿勢の変化の様子を実演してくださいました。 その様子とは、ピンと真っ直ぐに伸びていた背骨がテレビに夢中になるあまり、徐々に頭だけがテレビに近づき、いつのまにか猫背になっているというものでした。 幼い頃、よく親に「テレビを見るときは姿勢を正しなさい」と注意されたので、頭の中では納得済みでしたが、先生の実演された姿勢の変化の様子が、現在の私にぴたりと当てはまったのです。 先生は猫背を続けると肩こりの原因になるほか、背骨が曲がると忠告されました。 せっかくこの世に生まれてきたわが身であるのに、自分の不注意で背骨が曲がるようなことになったら大変です。

 しかし、先生はそのようにならない為の体操も教えてくださいました。 その体操とは椅子に座りながらの体操でした。 足を地べたにしっかりとつけ、腰をそらしながら頭を上げるというものでした。 曲がっていた背骨が正され、背筋も鍛えられるそうです。 テレビを見ている時に姿勢が悪くなっているなと思ったら、コマーシャルの間にでもこの体操を行うように勧められました。 注意点としては、身体の筋肉がビックリしないように急な動きは避け、ちょっと痛いけれど気持ちよいなあと思える程度にとどめておくのが一番効果的だということでした。 姿勢が悪いということは、その人本人の健康に悪影響を及ぼすほか、周囲の人たちに与える影響もあまり良いものではありません。 私は禅僧として特に注意しなければいけないと痛感させられました。

 先生は最後に"健康を保つために、毎日の体の手入れを欠かさないように"とおっしゃいました。 仏具の手入れをするように、今後自分の体の手入れも怠らないように気をつけてゆこうと思いました。

 1時間の公開講座はあっという間に終わってしまいました。 先生の言葉を食い入るように聞き入っていた檀信徒の皆様は、先生に盛大な拍手を送っていました。 大観音の法要を無事に終え健康についてのお話を聞いて、檀信徒の皆様の表情は晴れ晴れとしていました。 今年の大観音は天候にも恵まれ、法要から公開講座まで非常にスムーズに進めさせていただきました。 前日からの準備はさぞ大変だったと思いますが、無事に行事を終えることができたのも檀信徒の皆様のお陰だと思っています。 また、観音様のお力添えもあったと思います。 来月より再び定例の観音講が始まりますが、皆様と一緒に滞りなく勤めさせていただきたいと思いました。

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