上山者(参禅者)の声

 永源寺の生活は、坐禅や読経などの他、境内の掃除や、典座寮(台所)における日常のおつとめをはじめ、時には托鉢をしたり、裏山の草木を切って生け花をしたり、法語作成のために漢字(平仄や韻)を学んだり、習字の練習をしたり、お袈裟の把針(縫うこと)をしたりと、季節に応じて様々です。 大自然に囲まれた環境に加え、地域の人々と共に行持(ぎょうじ:行は修行、持は護持・継続の意)をつとめている永源寺には、時々、参禅希望や修行希望の方が来られますが、その方々にこの寺についての感想文を書いていただきました。 どうぞ御一読下さい。




永源寺の夜施餓鬼会に随喜       バザン大道

 鹿苑山永源寺の佐々木方丈様に初めてお目にかかったのは、島根県浜田市にある龍雲寺で行った私の師匠の晋山式の時でした。このご縁で八月のはじめの数日の間、夜施餓鬼会に随喜させていただきました。有り難いことです。

 盂蘭盆会の時期になりますといつも、一番最初に日本に来た時のことを思い出します。日本のことを本だけでちらっと分かった私には、いわゆる祖先崇拝がすごく印象的でした。お家の亡くなった人の精霊のため、位牌をおさめ、蝋燭と線香、それに花と食物を供えた仏壇にお経をあげ供養を行う日本人には感動しました。ですから永源寺での夜施餓鬼会に随喜させていただいて改めて日本人は素晴らしいなぁと感じることができました。

 それからもう一つ気づいたことがあります。どの時代の人も同じかどうかはわかりませんが、現代人の不幸は人々が自分の生活に、頼りとなるものを失ったということにあると思います。お檀家さんに一生懸命にチカラを尽くしておられる永源寺の皆さんのお姿を見ると、お寺の存在、言い換えればブッダの御教えが、きっとその頼りになっていると思いました。

 永源寺での一週間は、穏やかで貴重な時間でした。法要の行い方のことで未熟な私に親切にご指導してくださった方丈様に感謝しております。     合掌